A相続放棄とは、故人のプラスの財産も、マイナスの財産も一切相続しないことをいいます。相続放棄をしようと思われたら、ご自身が相続人であることを知ってから3カ月以内に、故人の最後の住所地の家庭裁判所に申立てをしなければなりません。ここで注意が必要なことは、相続放棄をすると相続人ではなくなるということです。たとえば、ある財産については要らないとお考えの場合は、遺産分割協議という相続人間のお話合いで可能になります。相続放棄は、親族の関係上、もめごとに巻き込まれたくない場合や故人にかなりのマイナスの財産がある場合になさるのがいいでしょう。
Aできます。
ただし、両親が多く財産を相続すると、未成年の子が相続する財産が少なくなります。また、両親が少なく財産を相続すると、未成年の子が相続する財産が多くなります。そのため、両親は遺産分割協議について正確な判断ができない恐れがあります。このような不利益が生じないために家庭裁判所に未成年の相続人に代わって遺産分割協議を行う「特別代理人」を選任してもらい、特別代理人とその他の相続人全員で遺産分割協議をする必要があります。たとえば、故人の相続を受けるのが、奥様と2人の未成年のお子さんであった場合、奥様と、それぞれのお子さんのためについた特別代理人とで遺産分割協議を行います。
A相続人がいない場合は、家庭裁判所に財産を管理する人「相続財産管理人」を選任してもらいます。
相続財産管理人の選任を公告してから11カ月間相続人等が名乗り出ず、特別な縁故がある者もいない場合は、財産は国に帰属します。これを回避するために、たとえば自分の遺志を承継できる方へ遺言書を残されたほうがいいかもしれません。
A相続します。相続人は故人のマイナスの財産も相続します。借金を相続したくないという場合は、相続放棄または限定承認をすることができます。
A遺産分割協議は全員で行わないと無効です。たとえば、相続人の中に、海外にいて連絡が取れない方がいる場合、その方を抜きにして遺産分割協議を行った場合は、無効となります。
A人が亡くなったと同時に始まります。たとえば相続人の間で遺産分割協議をして、故人の相続財産をそれぞれ誰のものにするか決めた場合、その財産は故人の亡くなった時点からその相続人のものになったこととなります。
A遺産分割協議とは、相続人間でだれがどの財産を取得するのかを決める話し合いのことです。たとえば、故人にA不動産、B預貯金、C株式、D車とあった場合、相続人XはA不動産、相続人YはB預貯金、相続人ZはC株式とD車といった具合です。
A故人の戸籍を収集することで相続人がわかります。たとえば、故人の戸籍を出生から死亡まで集めると、家族関係が詳細に分かり、それによって相続人が判明します。
A一定の相続人(故人の配偶者、子供、父母、祖父母等)に保証されている、民法上最低限認められている財産を取得できる権利です。たとえば、故人が遺言書で相続人とは関係のない方に財産をすべて渡す内容を書き残した場合でも、妻はその財産の4分の1をその人に請求する権利があります。遺留分の計算は複雑な部分もございますので、私たち専門家にご相談ください。
A相続のために名義を変える相続登記には、権利証は原則必要ではありませんので、ご安心ください。もし、故人が亡くなられたのが6年以上前である場合は、権利証が補完書類となりますので、提出していただく場合もあります。
A相続手続では、お亡くなりになられた方の戸籍謄本等の束を各種窓口に何度も提出する必要があります。法定相続情報証明制度は、登記所(法務局)に戸籍謄本等の束を提出し、併せて相続関係を一覧にした図(法定相続情報一覧図)を提出すれば、登記官がその一覧図に認証を付した写しを無料で交付します。その後の相続手続ではこの「法定情報一覧図」の写しを各種窓口に提出することで、戸籍謄本等の束を何度も出し直す必要がなくなります。本制度のご利用についても、私たち専門家にご相談ください。
Aお父様が生前に「認知」をしていた場合、または遺言書で「認知」をしていた場合には相続人となります。お父様が亡くなったのが、平成25年9月5日以後であれば、相続人として、結婚関係にある他の子供と同じだけの相続分を受け取ることができます。たとえば、お父様がお母様とは別の方と結婚されていて、そこに子供さんがいらっしゃる場合、その子供さんたちと同じ割合で相続分があります。それ以前にお亡くなりの場合、受け取る相続分が異なります。
A違います。父だけがA太郎と一緒となる弟の相続分は、父母両方がA太郎と同じである姉の相続分の半分になります。
Aご兄弟3名が相続人となります。相続人になれる人は、法律で定められており、配偶者、子孫、両親、祖父母がいないときには、兄弟が相続人となります。
A養子縁組をしないと相続人にはなりません。たとえば、お子さんを持つ方とご結婚されたご主人は、結婚するだけでは、そのお子さんと法的な親子関係を結んではいません。よって、ご主人が亡くなった場合は、どんなにこのお子さんが孝養を尽くしてきたとしても、相続人ではないため、相続分を受け取ることができません。この場合は、遺言書を書かれるか、生前に養子縁組をされるのがよいでしょう。
A口約束でも贈与は有効です。ただし、口約束の場合、将来約束が守られない可能性があり、紛争になる可能性もあるので、書面で行うことをお勧めします。たとえば、親が子どものうちの一人に口約束で贈与した後、数年経って、他の子どもたちから贈与があった・なかったと言われ争いになる場合があります。
A故人の自筆の遺言書であれば、最後の住所地の家庭裁判所に検認という手続きを申し立てます。
ただし、公正証書で作成された遺言書は検認という手続きは不要です。たとえば、財産を整理していて、遺言書を発見した場合には、公正証書遺言であれば、公正証書という言葉が表紙などに印刷されています。しかし、故人の自筆で書かれているような場合は、封を切らず、そのまま家庭裁判所に検認の手続きをすることになります。
A遺言書が公正証書で作成されている場合、相続人、遺言執行者及び受遺者は全国どこの公証役場でも遺言書の検索ができます。また、今後法務局でも自筆証書遺言を預かる制度ができるため、そうなれば、法務局にて検索も可能となります。たとえば、故人が生前、遺言書を作成したというようなことをおっしゃられていた場合は、一度公証役場や法務局にて検索してみるとよいでしょう。
Aすべての遺言書は変更や取消ができます。ただし、変更・取消ともに決まりに則って直さないと無効になるので注意してください。新たに作成する場合は、以前作成した遺言書と同じ方式である必要はありません。たとえば、最初に自筆証書遺言で書いて、後に公正証書遺言で変更してもかまいません。複数の遺言書が残された場合、日付の新しいものが採用されます。ただし新しい遺言書の中には記載がなく、古い遺言書だけに記載されている内容があれば、その部分については古い内容が遺言書として採用されます。
A公証役場で公証人によって作成します。ただし、公証人が出張もしてくださるため、自宅や病院でも作成できます。たとえば、歩くのが大変で公証役場にまで出向くことができない場合は、公証人の方に来ていただいて作成することができます。
A遺言書の内容の実現のために必要な手続きを行う人のことをいいます。実際には、相続財産目録を作成したり、各財産の名義変更を行うなど、遺言書の内容を実現するために必要な一切の行為をする権限を持ちます。遺言書を作成する際に私どものような専門家を遺言執行者として指定したり、遺言執行者の方から委任を受けることで、この職務の一部を専門家がお手伝いすることができます。
A二人以上のものが同一の証書で遺言書を作成することはできません。たとえば、夫婦が遺言書を連名で書いて残しても無効になってしまいます。それぞれが遺言書を作成するようにしましょう。遺言書はどのように書くか一定の決まりがありますので、それに則ったものを作成してください。
A遺言書の付言事項という部分に、メッセージなどの想いも記載できます。たとえば、財産をどうしてこのように相続させるように決めたのかや、今後どうやって生きて行って欲しいのか、感謝の気持ち等をしたためることで、相続人の争いを未然に防ぐことができます。
A判断能力が不十分になった方の財産管理をする制度になります。
後見制度は法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。判断能力が不十分になってしまった時には、誰かが代わりにその方の財産管理をする必要が出てきます。たとえば、ご本人がすでに判断能力が不十分であれば、法定後見制度を使います。また、判断能力が不十分になる前にご自身が契約で、財産管理をしてもらう人をあらかじめ決めておける制度が任意後見制度です。まだ判断能力があるのであれば、任意後見制度を活用し、依頼したいと思う方と契約を結んでおかれるのもよいでしょう。
A成年後見制度も、任意後見制度も、判断能力が不十分になった方が利用できる制度です。そのため、体が動かしづらくなっても後見制度を利用することはできません。
その場合、財産管理をしていただく方と契約を締結することで、ご自身の代わりに財産管理を行っていただくことがが出来ます。また、信託という方法もあります。
A成年後見制度は、判断能力が不十分になってから家庭裁判所で成年後見人を選任し、成年後見人が財産管理を行う制度です。
任意後見制度は、判断能力が不十分になる前に、後見人になって欲しい人(ご親族や司法書士等の専門職)との間であらかじめ契約をしておき、判断能力が不十分になった際に、任意後見監督人が選任され、任意後見人が財産管理を行う制度です。
A出来ません。判断能力が不十分な方の保護のため、判断能力が回復したり、死亡するまで続きます。たとえば、施設入所の費用のために、判断能力が不十分なお父様の不動産を売却するため、いったん後見制度を利用したとします。しかし、不動産の売却が終わった後も、その後見制度は続いていきます。
A法定・任意後見制度を利用しても戸籍や住民票などには記載されません。ただし、後見登記事項証明書に記載がされます。
A息子さんを後見人としてあらかじめ決めておける制度=任意後見制度がありますが、これは判断能力が不十分になる前に利用できる制度です。お母様が既に認知症を発症された後は、任意後見制度を利用することはできません。本人の判断能力が不十分な場合に利用できる制度として法定後見制度がありますが、後見人の選任は家庭裁判所が適任者を選任するため、必ずしも息子さんが後見人になれる保証がないのが現状です。法定後見人として選任される人は、弁護士、司法書士、社会福祉士等の専門家が選ばれるケースが多いようです。
A遺産承継とは、亡くなった方の財産を相続人に渡す手続きの総称になります。故人に財産があり、たとえば、銀行も複数、証券も複数、不動産、車、、、、などと財産の種類が多岐にわたり、それらを解約したり名義を変更しなければならない場合、財産がいったい総額いくらになるのか、把握しきれません。そのような時に、この遺産承継業務を私たちのような専門家にお任せいただくことで、財産の総額を把握し、相続人に分配することができます。
A自分や自分以外の人のために、自分の財産の管理や運用を自分が信用する人に任せる契約です。信託契約を結んだ段階で、管理や運用を任せることになります。金銭であれば信託口口座を新しく開いてそこに財産を移す、不動産であれば信託の登記をする、などの手続きが必要となります。
A将来に備える保険のようなものになりますので、対策をしようと思われたときに始めるのがよいでしょう。一言で生前対策と言っても、内容はさまざまです。たとえば、不動産をお持ちで、お子さんに負担をかけたくないというのであれば、生前に処分をして、不動産を引き継がせないことを考えなければなりません。あるいは、特定の不動産だけを子どもに残しておいてあげたいと思われるのであれば、遺言書を作成する、生前に贈与する、信託という制度を利用するなど、さまざまな方法が考えられます。
Aもちろん可能です。
たとえば、当初遺言書を作成して、財産をご自身が亡くなったタイミングで、お子さんに相続させようとしていたとします。しかし後になって、存命なうちにその財産を贈与という形でお渡しになりたいと思うこともあるかと思います。この場合、当初に作成された遺言書の内容に縛られず、贈与を行うことができます。
A節税対策から生前対策を考える方も多いと思います。例えば生前贈与には配偶者控除などの特別控除制度もいくつか設けられています。しかし、特別控除を使って生前贈与を行うよりも相続する方が結果的に税金が安くなることもあります。また税金面に限らず、色んな角度から対策一つ一つのメリット・デメリットを検証する必要があります。司法書士や税理士といった専門家と一緒に対策を練られることが一番の万全作といえるでしょう。
Aご自身のご親族のうちどなたがご存命かによって相続人が変わります。あまり知られていないのですが、ご両親がすでに他界されているとしたら、ご自身の配偶者とご兄弟が相続人になり、奥様に4分の3、ご兄弟に4分の1がご相続されます。相続させたい方がはっきりしている場合、生前対策をしておくことがとても大切になります。たとえば、ご自身の奥様にすべてを相続させたい場合、遺言書を作成しておくと、ご兄弟はその相続財産を受け取ることができません(兄弟には遺留分は適用されません)ので、ご希望どおり奥様にすべての財産を遺すことができます。
また、身近な親族がいらっしゃらない場合や御病気になってしまった場合などに備えて生前対策をしておくことが望ましいでしょう。