相続登記を行う際、共同相続人らが法定相続によることを選択して登記手続きを行う場合には、下記の通り、相続開始の年月日により、法定相続分が相違することに留意する必要があります。
法定相続分
1 昭和22年5月2日以前
旧民法の規定により、戸主が家督相続する場合と、例は少ないが戸主以外の
者が遺産相続する場合があります。
2 昭和22年5月3日から昭和55年12月31日まで
配偶者 3分の1 子(直系卑属)3分の2
配偶者 2分の1 直系尊属 2分の1
配偶者 3分の2 兄弟姉妹 3分の1
3 昭和56年1月1日から現在まで(民法900条)
配偶者 2分の1 子 2分の1(1号)
配偶者 3分の2 直系尊属 3分の1(2号)
配偶者 4分の3 兄弟姉妹 4分の1(3号)
※ただし父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1(4号)
上記のとおり、相続開始の時によって、法定相続分が相違しているため、古い時期の相続手続きをする場合は、各法定相続分に注意する必要があります。
なお、嫡出子でない子の相続分については、平成25年9月4日の最高裁大法廷決定により、嫡出子でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする民法の条文が違憲であると判断されたため、平成25年12月11日、同部分を削除する民法の一部改正がされました(民法900条4号ただし書きの一部を削除)。これにより嫡出子でない子の相続分は嫡出子の相続分と同等となり、この相続分に関する取扱いは、平成13年7月1日以後に開始した法定相続に適用されています。
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北海道日高町生まれ、東京育ち。東京法務局などで40年余り登記・裁判の実務経験を経て、平成28年司法書士登録。同年に司法書士法人リーガル・フェイスへ入社。入社後、法人の顧問として、若手社員の育成等に取り組む。