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空家を放置するリスクとその対策<後編>

空家を放置するリスクとその対策<後編>

前回は、空家を放置しておくと、建物の状態によっては「特定空家」に指定され、固定資産税の軽減措置が外れることとなり、最悪の場合は行政機関による強制撤去が行われて、その撤去費用は所有者に請求されることにもなること、そして2024年4月施行の相続登記義務化についてを説明しました。

 

今回は、空家放置のリスクを回避する対策について説明します。

 

1.適切な管理で現状維持

空家を何か月・何年も放置すると、建物本体や付属設備等が傷みだし倒壊の恐れが生じたり、害虫などが発生して衛生環境が悪化したりします。

そのため、最低でも月に1回程度は、所有者自身で掃除や換気をしたり、雨漏り・漏電等の確認を行うなどのメンテナンスが必要となります。

2.空家管理代行サービスを行う業者などの活用

自分で空家のメンテナンスを行うのが難しい場合は、空家や空地を定期的に管理してくれる業者を活用する方法があります。

代表的な空家管理サービスを行う者として、「NPO法人空家・空地管理センター」があります。サービスとしては、定期的な巡回や建物の目視点検を行う、月100円の簡単なサービスから、部屋の清掃や換気、郵送物の転送、敷地内の草刈りや立木の剪定など様々なオプションがあるようです。特に寒冷地においては、冬季限定ではありますが、屋根の雪下ろしや雪の除去なども行ってくれるそうです。

3.空家バンクの活用

空家バンクとは、自治体が主体となって運営されている仕組み、制度です。

家を貸したい人・売りたい人が登録をして、借りたい人や買いたい人に情報を提供します。空家が有効活用されることが、周辺住民や環境を守ることにつながるからです。

(1)空家バンクを活用するメリット

借りたい人や買いたい人から見れば、空家バンクは営利目的ではないため、仲介手数料の必要がなく、相場よりも安く借りたり買ったりすることが可能となります。

また、空家バンクは自治体が運営するため、様々な補助金の制度があり、利用次第で初期費用を抑えることも可能です。

(2)デメリット

自治体は、契約や仲介に関与しないことから、登録した人も借りたい人や買いたい人も自分で相手方と交渉する必要があります。
物件を借りる時も買う時も必ず自分の目で現地を確認をしておかないと、トラブルになる可能性があり、できれば自治体と協定を結んでいる業者に仲介に入ってもらうほうが安心かと思います。

4.空家の売却

相続した人が、その建物や土地を使用する予定がない場合は、売却するという方法があります。

売却した場合は、固定資産税等の税金の支払義務がなくなります。また、売却により翌年に不動産譲渡税が課されますが、要件さえ満たせば、空家の譲渡所得3000万円控除の特例を活用することもできます。

 

空家の譲渡所得の3,000万円控除の特例

(1)建物が昭和56年5月31日以前に建築されたこと

(2)建物が区分所有建物でないこと。

(3)相続の開始直前において被相続人以外に居住していた人がいなかったこと。

(4)相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。

(5)売却代金が1億円以下であること

詳細については国税庁のホームページなどでご確認ください。

5.まとめ

空家をお持ちの場合は、税負担の問題だけでなく、どのように管理していくか、場合によっては売却するのかなど、早めに家族間で話し合うことが重要です。

 

そして、もし空家についての方策を実行できないまま亡くなってしまう可能性も踏まえ、予防策の検討をするのも一つでしょう。

 

例えば、空家の所有者が亡くなった後の相続手続きにおいて、遺産分割協議が円滑に進まない場合は空家問題の解決が遠のいてしまいます。

遺言書を作成し、所有者が亡くなった後に誰に不動産を引き継がせるのかなどを記載しておくことも相続後の手続きを円滑に進める意味では有効でしょう。

 

さらに、認知症対策の一つとして任意後見契約を結んでおくことは、認知症になった後の空家の売却や賃貸借契約を円滑に進めるための有効な手段となります。

リーガル・フェイスでは、相続登記、遺言書起案のお手伝い、任意後見契約書作成のお手伝いも行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

※こちらのコラムは以前掲載したコラムの改訂版となります。

 

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