こんにちは。リーガル・フェイス相続商業課の宮堀です。
今回は複数の遺言が見つかった場合についてご紹介したいと思います。
1.遺言書は何回でも変更可能
遺言書は再度作成し内容を変更することができます。所定の方式に従ってさえいれば、何通書いても、何回書いても問題ありません。そのため、いったん遺言を作成したものの、その後の環境の変化などにより気持ちが移り変わる場合も多くあるかと思われます。毎年遺言書を書き直す方もいらっしゃいます。このような結果として例えば亡くなった父の金庫から2通の遺言が発見されたというケースが多々存在します。
自筆証書遺言の作成する際の注意点は下記コラムをご覧ください。
自筆証書遺言作成の注意点
●遺言書の内容を変更するには
新しく遺言書を作成するのではなく、既存の遺言書の内容を一部消除したり、修正するには、民法で規定された厳格な方式で行う必要があります。この方式に従わないと、原則として変更は無効とされ、変更前の内容で遺言の効力が生じることになります。
下記の4点に留意しましょう。
①変更箇所を指示すること
②変更した旨を付記すること
③付記部分に署名すること
④変更箇所に印を押すこと
※なお、この変更方法は自筆証書遺言でかつ変更内容が軽微な場合に限られますのでご注意ください。
民法968条第3項
自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
2.遺言書の日付を確認しよう
遺言書には必ず日付が記載されています。複数の遺言書を発見した場合には遺言書が作成された日付を確認しましょう。遺言書は日付が新しい方が被相続人の最後の意思と判断され、それ以前に作成された遺言書は撤回したものとみなされます。ちなみに全ての遺言書に日付が入っていなかったり、押印がなかった場合はどのように判断すべきでしょうか。そのような場合には全ての遺言書は無効となります。法律で遺言書への日付の記載や押印を要求されているからです。また遺言書の種類も問われません。例えば自筆証書遺言と公正証書遺言の2つの遺言が発見された場合、公正証書遺言が優先されそうかと思われがちですが自筆証書遺言の日付の方が最新であれば自筆証書遺言が優先されます。
3.遺言の内容を確認しよう
民法1023条第1項には「前の遺言が後の遺言と抵触するときは,その抵触する部分については,後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。」という条文があります。例えば、Aが「甲不動産をBに遺贈する」という遺言をした後に、「甲不動産をCに遺贈する」という遺言をした場合には甲不動産の二重譲渡となるのではなく、Bに対する遺贈が撤回されたことになります。また古い遺言と新しい遺言で内容が抵触しない箇所については、古い遺言に記載されている内容がそのまま有効なります。
4.まとめ
リーガル・フェイスでは、遺言作成だけでなく相続に関する包括的な手続きについて対応させていただきますので、もし遺言が複数見つかった場合には、是非一度ご相談ください。また、遺言書の検認手続きにも対応可能ですので、下記コラムもご参考ください。何かお困りごとがありましたら、お気軽にお問合せください。
遺言書が見つかったらどうする? 検認の流れと必要書類
四年制大学の経営学部を卒業後、会計事務所での勤務経験を通じて司法書士の仕事を知る。その後、知人の司法書士に対し登記実務の質問を重ねるうちに司法書士資格の取得を志す。そこから司法書士業界への転職を考えるようになり、2021年8月、リーガル・フェイスへ入所。趣味はスポーツ観戦で、中でも野球(メジャーリーグ)とバスケ(NBA)が好き。