こんにちは。司法書士法人リーガル・フェイスの佐藤です。
今回は相続手続の流れと、必要な手続についてまるごとまとめてみました。
かなりボリュームのある内容になっていますので、ぜひ目次を上手く活用していただければと思います。
尚、各手続に必要な書類等は市町村役場や手続先によって異なります。そのため、今回本文中の表に記載している内容はあくまで一例となりますことをご理解いただけますと幸いです。
これから相続手続を行う方、何をどうしたら良いのか不安を抱かれている方にとって、少しでも手助けとなれたら嬉しいです。
目次
- 1.死亡診断書の発行(7日以内)
- 2.死亡届の提出(7日以内)
- 3.火埋葬許可申請書の提出(7日以内)
- 4.火埋葬許可証の提出(7日以内)
- 5.世帯主変更届の提出(14日以内)
- 6.各種保険証の返却
- 7.年金の受給を停止する
- 8.遺族年金を請求する
- 9.お墓を引っ越す(改葬許可申請)
- 10.シルバーパスを返却する
- 11.クレジットカードの解約
- 12.借金(負債)の確認・整理
- 13.預貯金口座の解約・相続
- 14.証券口座の解約・相続
- 15.各種会員証の返却・退会
- 16.各種会員権の引継ぎ
- 17.各種保険金の請求
- 18.死亡退職金の請求
- 19.住宅ローン
- 20.葬祭・埋葬料(費)の請求
- 21.高額療養費の請求・還付
- 22.借地契約・賃貸住宅の引継ぎ
- 23.出資金
- 24.自動車
- 25.保証人の地位
- 26.不動産の名義変更(相続登記)
- 27.固定資産税・都市計画税
- 28.遺言書の検認
- 29.相続放棄・限定承認の申立て
- 30.所得税の準確定申告(4カ月以内)
- 31.相続税の申告(10カ月以内)
- まとめ
死亡診断書の発行
死亡診断書とは死亡に至るまでの過程を詳細に書き記された、医師によって発行される書面のことです。人が亡くなったら、その後の手続のためにも医師から死亡診断書を発行してもらう必要があります。
また、その後の手続で必要となった場合に備えてコピーを取っておくとよいでしょう。
死亡届の提出
死亡診断書を受取ったら、死亡届と併せて故人の死亡地または届出義務者(親族を含む故人の同居人、家主、地主、家屋または土地の管理人)の住所地・所在地の市役所や区役所、町役場へ提出します。届出義務者が「死亡の事実」を知ってから7日以内に届け出る必要があるので、速やかに済ませましょう。
火埋葬許可申請書の提出
死亡届を提出するタイミングで、火埋葬許可申請書を提出する場合があります。
役場によっては死亡届を提出すると火埋葬許可証が発行されることもありますが、もしも申請書が必要のようでしたら死亡届を提出する際にまとめて提出してください。
※原則、死亡届と同時に提出しなければなりません
気を付けなければならないのが、火埋葬許可申請書には「火葬(埋葬)場所」や「実施日時」など具体的な内容を記載しなければならない点です。
そうなると、火埋葬許可申請書の提出時までに葬儀場所を予約しておく必要がありますのでご注意ください。
申請が受理されると、火埋葬許可証が発行されます。これがなければ、遺体を火葬(埋葬)することができません。発行されたら失くさないよう十分に気を付けましょう。
火埋葬許可証の提出
発行された火埋葬許可証は葬儀会社へ提出します。
しかし、最近では死亡届の提出やそれに伴う火埋葬許可申請などは、葬儀会社が代行してくれるケースが多いようです。
もしご自身で手続をされる際には参考にしてみてください。
世帯主変更届の提出
亡くなられた方が世帯主であった場合、世帯主変更届を提出する必要があります。
※ただし、二人世帯の場合は残った方が自動的に世帯主になるため届出の必要はありません
また、故人が世帯主で且つ国民健康保険に加入しており世帯員(家族)が故人の扶養に入っている際は、保険の切り替えが必要です。
そのため世帯主変更届と同時に健康保険の切り替え手続を行うと、効率よく手続が進められます。
参考:新宿区ホームページ「世帯変更届(世帯主がかわったとき、世帯を分けたり、一緒にしたとき)」
各種保険証の返却
国民健康保険・後期高齢者医療保険
国民健康保険・後期高齢者医療保険のいずれかに加入している人は、死亡日の翌日から資格を喪失します。
資格喪失の届出は、死亡日から14日以内に行わなければならないのでご注意ください。
詳しくは該当の市町村役場 医療保険担当窓口へ。
社会保険証
企業に雇われていた人が亡くなった場合は、健康保険組合や協会けんぽ(全国健康保険協会)などの被用者保険に加入しているため、勤め先の企業へ保険証を返却することになります。
注意しなければならないのが、故人の保険に扶養者がいた場合です。
なぜなら故人の死亡によって、故人が加入していた社会保険の支給対象から外れることになるからです。例えば妻が夫の保険の扶養に入っていたなら、夫の死亡によって妻も支給対象外となります。
よって、妻は就労して被用者保険に入るか、国民健康保険へ加入しなければなりません。
年金の受給を停止する
国民年金
続いて年金事務所にて年金受給停止の手続を行います。
国民年金の場合は亡くなった日から14日以内に受給を停止しなければなりません。
そのためには年金事務所へ「受給権者死亡届(報告書)」を提出する必要があります。
もしも上記の死亡届(報告書)を提出せずにいると、年金を多く受け取ったことになるので後から返金を求められる場合があります。
一方で、年金に未払いがある場合は別途給付請求がございますので、いずれにせよ不安な方は一度年金事務所へ問い合わせてみてください。
厚生年金
厚生年金の受給停止は10日以内に行う必要があります。
詳細は国民年金の受給停止手続と同様に、年金事務所へ直接お問い合わせください。
遺族年金を請求する
一定の条件を満たしている遺族の方は、各種遺族年金を給付することができます。ただし誰もが受け取れるわけではなく、あくまでも「故人の収入によって生計維持されていた遺族」をサポートするための年金が遺族年金です。
遺族基礎年金
故人が国民年金に加入していた場合は、遺族基礎年金を受け取ることができます。
受給資格者は次の通りです。
国民年金保険に加入していた方が死亡し、尚且つその故人によって生計維持されていた「18歳到達年度の末日(3月31日)までにある子がいる配偶者」または「子」
併給の可否にご注意を!
遺族基礎年金の受給資格を満たしている方でも、すでに障害基礎年金または老齢基礎年金、特別支給の老齢厚生年金を受給している場合は併給ができません。
× 遺族基礎年金+老齢基礎年金
× 遺族基礎年金+障害基礎年金
× 遺族基礎年金+特別支給の老齢厚生年金
遺族厚生年金
故人が厚生年金に加入していた場合は、遺族厚生年金を受け取ることができます。受給資格者は次の通りです。
厚生年金保険に加入していた方が死亡し、
尚且つその故人によって生計維持されていた遺族
遺族基礎年金との大きな違いは、遺族厚生年金には特別な受給資格が必要ないということ。厚生年金に加入していた方の遺族であれば、子だけでなく妻や孫も受け取ることができます。
ただし年金は1人1年金が原則のため、支給事由が異なる2つ以上の年金はいずれか1つを選択することになります。
たとえば、老齢厚生年金を受給している方が配偶者等の死亡によって遺族厚生年金も受けられる場合は、老齢厚生年金に相当する金額の支給が停止されます。
より詳しくは日本年金機構のホームページ上で確認するとよいでしょう。
参考:日本年金機構ホームページ「遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)」
寡婦年金の請求
一部の方になってしまいますが、寡婦年金を受給できることがあります。
そもそも寡婦年金とは、死亡日の前日時点で第一被保険者であった「10年以上保険料を納めていた夫」から「継続して10年以上婚姻関係にあり、生計を維持されていた妻(60~65歳)」に対して支給される年金です。
上記以外にも細かい条件もあるので、しっかりと確認した上で該当の方は手続を行うと良いでしょう。
死亡一時金の請求
死亡一時金とは、死亡日の前日時点で国民保険料の第1号被保険者として36カ月以上納めていた方が老齢基礎年金・障害基礎年金を受け取ることなく亡くなった場合、その人によって生計を維持されていた遺族が受け取れるお金です。
こちらも該当する方は手続を行いましょう。
遺族補償年金・一時金の請求
遺族補償年金・遺族補償一時金は労災保険に加入していた方で、業務または通勤が原因で亡くなった労働者の遺族に対して支給されます。要件が複雑なので受給資格をご確認の上請求してみてください。
参考:厚生労働省ホームページ「遺族(補償)給付 葬祭料(葬祭給付)の請求手続」
お墓を引っ越す(改葬許可申請)
図のように、故人の親族のお墓が遠方にあった場合には相続のタイミングを機に「お墓を引っ越したい」ということもあるでしょう。
中には、墓じまいを検討している方もいらっしゃるかもしれませんね。
このような場合は、改葬許可申請を出さなければなりません。
申請の際、申請書は遺骨1体につき1枚が必要となります。
参考:新宿区ホームページ「改葬許可の申請(遺骨をほかの場所に移すとき)」
改葬を巡るトラブルにご注意を!
改葬については、地域による風習などもあり、墓地の管理者や親族とよく話し合いをしておかないと、後々トラブルになる可能性があるので十分注意が必要です。
また改葬許可申請に係る役所の手数料は無料ですが、墓地やお寺などに係る費用は別途必要となります。
シルバーパスを返却する
自治体ごとに呼び方も内容も異なる“シルバーパス”。
故人がこのシルバーパスを利用していた場合は返却する必要がありますので、心当たりがあれば故人のご自宅やお財布の中などを探してみてください。
尚、シルバーパスの交付にあたって負担金を支払っていたり、ICカードにチャージ残高がある場合には返金されることがあります。
参考:東京バス協会ホームページ「東京都シルバーパスのご案内」
クレジットカードの解約
続いて解約に関する手続へ移ります。
まずは故人のクレジットカードを解約するところから始めると良いでしょう。
これには理由があるのですが、実は銀行口座の解約から取りかかってしまうと、すぐに口座が凍結されてしまいます。銀行側は、利用者の死亡を確認した時点で口座を凍結する流れになっているためです。
そうなると、万が一クレジットカードに負債が残っていた場合、そのカードに紐づいている口座が凍結されているため引き落としができなくなってしまいます。
クレジットカードの解約手続きは、必要書類も流れも各カード会社によって異なるため直接問い合わせるほうが確実です。
クレジット機能つきのカードにご注意を!
昨今ではクレジット機能のついたICカード(Suica・PASMOなど)や会員権も広く利用されています。
見落とすことのないように、一枚ずつ丁寧にカード類をチェックしてみてくださいね。
借金(負債)の確認・整理
クレジットカードを解約するタイミングで、借金の有無もチェックしてしまいましょう。
銀行系のローン、キャッシングを調べたい
住宅ローンなど銀行系のローンやキャッシングの情報を調べたい場合には「全国銀行個人信用センター」へ問い合わせると、故人のお借り入れや支払い情報について知ることができます。
参考:一般社団法人全国銀行協会ホームページ「本人開示の手続き」
クレジット情報を調べたい
故人のクレジット情報について調査したい場合は「CIC(株式会社シー・アイ・シー」」へ問い合わせ、諸手続を経ると情報開示してもらうことが可能です。
参考:株式会社CIC「情報開示とは(自分の信用情報を確認)」
消費者金融等の契約内容を調べたい
消費者金融等の契約内容は「JICC(株式会社 日本信用情報機構)」にて手続を行うと、情報を開示してもらえます。
現在は新型コロナウイルスの感染防止対策により、窓口ではなく郵送での対応となっているようですのでご注意ください。
その他の方法
その他、契約書や預金通帳の出金履歴や、被相続人宛の郵便物・税務申告書類等により債権者を把握し、当該債権者に照会することで債務の詳細を把握することができます。
預貯金口座の解約・相続
続いて金融機関の解約をします。こちらも各金融機関によって流れも必要書類も異なるため、故人が契約していた金融機関へ一度お問い合せください。
問い合せると金融機関から次の手続について説明があるかと思いますので、その指示に従って必要書類を準備し、諸手続を進めることになります。
預貯金は相続財産でもありますので戸籍や死亡診断書の写し、相続人の印鑑証明書や遺産分割協議書などが必要になることと思います。
手続きは契約先の金融機関ごとに異なりますので、少し煩雑に感じるかもしれません。
もしよろしければ過去に当事務所で預貯金のみの解約手続きを承った事例がございます。参考にしてみてください。
出金の流れ・用途は記録しておくと◎
上記で述べた通り、死亡の連絡をするとすぐに口座が凍結され、口座の入出金ができなくなります。もし葬儀費用などを故人名義の口座から引き出す場合は、後で他の相続人とトラブルにならないよう、出金の流れや用途をしっかり記録しておくことをお勧めいたします。
証券口座の解約・相続
故人が証券会社と取引をしていたら、証券口座の解約手続を行います。
必要な書類や手続の流れは証券会社ごとに異なりますが、相続財産にも関わりますので戸籍や死亡診断書の写し等の提出は求められることと思います。
各種会員証の返却・退会
故人がデパートやフィットネスクラブ、JAF、老人会などの会員であった場合、それらを退会する手続を行います。
そのまま放置してしまうと、場合によっては会費が発生するのでお気を付けください。
上記以外にもなんらかの会員であったかどうか、故人の通帳で固定の引き落としを確認したり、生前使用していたお財布やカード入れに会員証がないかチェックすると良いでしょう。
各種会員権の引継ぎ
ゴルフやリゾートクラブの会員権は相続の対象となります。
そのため、遺族が勝手に引継ぎを行うことはできません。必要な書類や手続は、ゴルフ場・リゾートクラブによって様々ですので故人の利用していた施設へ問い合わせてみてください。
各種保険金の請求
生命保険・入院保険
故人が契約していた生命保険、入院保険から保険金を受け取る手続を行います。
まずは故人がどこの保険会社と契約していたのかを調べなければならないので、自宅の中に手掛かりとなる書類がないか捜索してみてください。
また、保険金の受け取りに関しては条件によって手続が異なります。そのため、取引会社の相談窓口へ問合せた上で必要書類や流れについて訊ねると良いでしょう。
簡易生命保険(かんぽ生命)
簡易保険の手続も、基本的には民間の保険会社と同じです。
まずは取り急ぎ窓口へお問い合わせください。
参考:かんぽ生命ホームページ「保険契約者や保険金受取人の方にご不幸があったとき」
死亡退職金の請求
死亡退職金を受け取るためには、故人の勤務先の人事担当者とやり取りをすることになります。おそらく勤務先に死亡の旨を連絡した時点で、勤務先とやり取りしなければならない諸手続について、説明や連絡があるものと思います。
(※その際に、死亡退職届の提出や最終給与についても説明していただけるでしょう)
住宅ローン
団体信用生命保険に加入している場合
故人が団体信用生命保険付きで住宅ローンを組んでいたら、ローンの弁済手続を行います。
一般的に、民間の金融機関でローンを組んだ場合は団信への加入が必須となっておりますので、故人がローンを組んだ際の借入先について調べてみると良いでしょう。
参考:独立行政法人住宅支援機構ホームページ「ご本人が亡くなられたとき」
団体信用生命保険って?
団体信用生命保険(通称:団信)とは、住宅ローンを組んだ方がローン完済前に亡くなってしまったり、高度障害状態になってしまった際にその保険金でローンの残代金を支払う保険です。
この団信へ加入していると、住宅ローンを契約した本人に万が一のことがあっても契約者本人以外の方は債務が免除されます。
裏を返せば、団信に加入していなければ住宅ローンの債務はそのまま相続人へ引き継がれるということです。
夫婦でローンを組んでいる場合等は、連帯保証か連帯債務か、ペアローンなのかはたまた親子でリレーローンを組んでいるのかなどで免除される内訳も変わります。
まずは一度金融機関へ問い合わせることが確実です。
団体信用生命保険に未加入の場合
団信に未加入であった場合は、住宅ローンはマイナスの財産として相続人へ引き継がれることになります。
遺産分割協議が終わり、誰に何を相続させるのかが明確になったら契約先金融機関へ連絡しましょう。
ただ、実際は遺産分割協議前に相談にいらっしゃることが多いそうです。
この順番は特別重要ではないので、不安になった時点でいつでもご相談くださいね。
葬祭・埋葬料(費)の請求
故人が国民健康保険に加入していたら
国民健康保険に加入していた方が亡くなった場合は、葬祭を行った方に対して葬祭費が支給されます。
故人が社会保険に加入していたら
社会保険加入者が亡くなったときには、埋葬料(費)が支給されます。この場合、故人の収入によって生活を維持していた遺族が対象です。
参考:全国健康保険協会ホームページ「健康保険埋葬料(費)支給申請書」
全国健康保険協会ホームページ「ご本人・ご家族が亡くなったとき」
高額療養費の請求・還付
故人が生前に重い病気などにかかっており、長期入院していたり治療が長引いていたケースも多いことと思います。
そんな時、治療にかかる自己負担額が一定の金額を超えると払い戻される制度があります。それが「高額療養費制度」です。
この制度を利用するためには、故人が加入していた保険者へ問い合わせの上で請求・還付手続を行う必要があります。
故人が社会保険に加入していたら
故人が社会保険に加入していた場合は、勤務先が加入している保険者へ問い合わせてみてください。また、故人の被保険者証は勤務先へ返却しなければならないので、事前にコピーを取っておくと良いでしょう。
保険証の情報が必要となる場面は、高額療養費請求以外にもいくつかございます。
そのため、予め複数枚写しを準備しておくと便利です。
故人がその他の健康保険に加入していたら
故人が国民健康保険など社会保険以外の健康保険に加入していた場合は、保険証とそこに記載している保険者を確認し、お問い合わせください。
借地契約・賃貸住宅の引継ぎ
借地契約を結んでいたり、賃貸住宅に住んでいた方が亡くなった際はそれらを引き継ぐ手続を行います。
それぞれ契約先に連絡をし、各種手続を行いましょう。
出資金
故人が事業を行っていたり、農業や林業、漁業を営んでいた場合は
信用金庫・農協・森林組合・漁協等の組合員になっている可能性が高いです。
その場合、上記の出資者として出資金を払っていることもあります。
そのまま組合を脱退すると基本的には出資金が払い戻されますし、
逆に相続人が組合に加入することで出資証券を相続人の名義に変更することもできます。
いずれにせよ、組合員が亡くなった時点で組合脱退等の手続は行う必要がありますので、出資金を「払戻すか、引き継ぐのか」も併せて対応しなければなりません。
まずは故人が組合員であったかどうかを調べるために、ご自宅の金庫に出資証券等が保管されていないかチェックしてみましょう。
出資証券の電子化にご注意を!
近年、出資証券の電子化が進んでいます。
出資証券が見当たらなかったことで、「出資していなかった」と判断するには少し早いかもしれません。
もしも故人が出資していた可能性が高ければ、紙の出資証券が無かったからと油断せずに「出資配当金支払通知書」も探してみてくださいね。
自動車
自動車の所有者が亡くなると、その自動車は相続人全員の共有財産という扱いになります。
まずは自動車検査証で所有者を確認し、もしそれが故人のものだとしたら自動車は相続財産となります。そして名義変更を行うためには、相続人全員の同意が必要です。例え故人の車を頻繁に使用していた遺族であっても勝手に名義変更を行うことはできないのでご注意ください。
手続を行う場合は、遺産分割協議が終わっているかどうかで必要書類も変わります。取り急ぎ、管轄の陸運局へ問い合わせてみてください。
保証人の地位
故人が単純保証人または連帯保証人であった場合、保証人の地位も相続されます。
故人が主債務者の借金の保証人となっているときは、主債務者が借金を返済できないときに代わって返済する義務を負っています。保証債務も故人の権利義務に該当するため、相続の対象となるのでご注意ください。
相続人が相続放棄をすれば、その人は保証債務を返済する必要はありませんが
義務を引き継ぐ相続人の場合は赤の他人の借金を返済しなければならなくなります。
保証債務は大きな負担となる可能性があるので、故人が誰かの保証人になっていなかったかどうか調査しておくと良いでしょう。
不動産の名義変更(相続登記)
不動産を相続した方は落ち着いたタイミングで名義変更(相続登記)をしましょう。
相続登記に申請期限は設けられていませんが、ご売却を考えているのであれば相続登記は必須です。
また、現在相続登記義務化の法案が検討されています。その主な内容には、相続を知ったときから3年以内の登記が義務付けられ、違反した場合は10万円以下の過料の罰則規定もあります。2022年度に施行される予定です。
そうでなくとも、登記がされていなければ第三者に対抗できないのでご注意ください。
例えばご自身が相続した不動産に登記を入れないでいるうちに、別の第三者が登記を入れたとします。いくらご自身がその不動産に住んでいたとしても登記されていなければ「この不動産は自分のものだ」と主張することはできません。
また、登記を申請する際は法務局が指定する書式に合わせて申請書を作成し、且つ一言一句間違いの無いように、必要書類に漏れがないように手続を行います。
とても複雑で大変な作業ですので、難しければ登記の専門家である司法書士を頼ってみてください。
相続関係説明図の作成
相続登記の手続を行う中で相続関係図が必要となります。
これは読んで字のごとく、相続関係を説明するための書類です。
相続関係説明図を相続登記申請の際に法務局へ提出すると、戸籍謄本の原本が還付されます。
原本が還付されないと、戸籍謄本が必要になる度に市町村役場まで足を運ばなくてはなりませんから、手間を減らすためにも作成の上添付すると良いでしょう。
固定資産税・都市計画税
故人が不動産を所有していた場合、固定資産税や都市計画税が課税されます。
亡くなった年に相続登記が済んでいれば、翌年度から新しい登記名義人に課税され、死亡日の翌年1月1日以降も相続登記がなされなければ現所有者へそれぞれ課税されます。
その際、納税通知書を受け取る相続人代表者を指定し、それを市町村役場へ届け出る必要があります。
これはあくまでも納税通知書の受取人を指定するための手続ですので、提出することで支払いの義務が生じるものではありません。
ただし、相続登記が完了するまでは相続人全員が納税義務者となります。
参考:日進市ホームページ「固定資産税・都市計画税の納税義務者が亡くなられたとき」
遺言書の検認
故人が自筆証書遺言(自分で作成した遺言書のこと)を遺していたら、家庭裁判所にて検認の手続を行う必要があります。
ただし、公正証書遺言書(公証役場で作成した遺言書のこと)と、自筆証書遺言であっても遺言書保管所(法務局)できちんと保管されているものについては検認が不要です。
自筆証書遺言の保管に関する詳細はこちらをご確認ください。
まずはご自宅に遺言書がないかどうかしっかりと探した上で、
特に見当たらなければ念のため遺言書保管所にて遺言書の有無を確認すると良いでしょう。
当事務所では、過去に遺言執行者の方から依頼された事例がございます。
もしよければそちらの事例も参考にしてみてください。
「検認」って?
「検認」とは、遺言書の偽造や変造を防ぐための手続のことを指します。
具体的には、相続人に対して遺言の存在とその内容を知らせて「どんな形状か」「どのような加除訂正があるのか」「いつ誰が書いたものか」を明確にしてくれるものです。
故人の自宅で保管していた遺言書を、相続人が勝手に開封し、内容を書き換えたりすることのないように検認が必要なのです。
遺言の内容が有効か、無効かを判断してくれる手続ではないのでご注意くださいね。
相続放棄・限定承認の申立て
相続には「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3種類があります。
限定承認または相続放棄を選択する場合は、家庭裁判所へ申し立てなければなりません。
特に申し立てなければ単純承認という扱いになります。
相続放棄を検討しているとき
相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の権利や義務を一切受け継がないという相続です。相続の開始を知ったときから3カ月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要が生じます。必要書類を準備した上で申し立てましょう。
限定承認を検討しているとき
限定承認とは相続によって得た財産の限度で債務を受け継ぐ相続方法です。
例えば、故人のマイナスの財産(借金など)がどの程度あるのか見当がつかないけれど、プラスの財産の方が多くなる可能性もある場合等に利用されます。
所得税の準確定申告
納税者が年の途中で亡くなると、相続人は1月1日から死亡した日までに確定した所得金額と税額を計算の上、死亡を知った日から4カ月以内に申告と納税をする必要があります。
参考:国税庁「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」
相続税の申告
無事に遺産承継が終わったら、相続税を申告します。
申告期限は10カ月ですので余裕をもって手続を進めましょう。万が一期限を過ぎてしまうと、延滞税が加算されてしまいます。そうならないよう、計画的にすすめることが大切です。
参考:国税庁ホームページ「相続税申告のしかた(令和2年分用)」
まとめ
以上、相続手続の解説でした。いかがでしたか?
私自身この記事をまとめる作業はとても大変で、頭の中がこんがらがってしまう瞬間が多々ありました。
もちろん今回ご紹介した手続すべてに該当する方はいないと思いますが、ものすごく大変な作業ですよね。
当事務所では高齢の方をはじめ、働いており時間が取れない方向けに手続をまとめて代行するサービスをご用意しております。
サービスの中には相続登記も含まれますし、相続税の申告等は提携している税理士先生と連携して行うこともできます。
手続そのものはご自身で出来る作業ですが、不安な方は専門家を頼ってみるのも一つの手ですよ。
(※この記事は、2021年3月現在の情報をもとに作成しています)
亡くなられた方の財産が多く、お手続きの負担が大きいという方はまずは一度お問い合せ下さいませ。初回相談は無料で承っております。
「不動産・預貯金・国債・有価証券…あまりに膨大な手続で困っています。」