1. 相談の背景
自分が亡くなったあと、甥に財産を引き継ぎたい。
先日、夫が亡くなりました。
自分は、結婚と同時に、相手の家の養子になっており、二人の間に子供はいません。
私が嫁いだ先は、代々農家をやっていて、畑をたくさん所有しています。
自分が亡くなった後に、その財産を甥に引き継いでもらいたいのですが、良い方法はありますか。
2. 相談に対する弊所の対応
遺言書の起案・作成及び法務局保管申請のサポート
依頼者様の実の両親は亡くなっていますが、ご兄弟は存命でいらっしゃいました。
法定相続の場合、本人が亡くなられると、相続人はご兄弟になりますが、離れた場所で暮らしていて、管理等が大変であることを懸念されており、また、代々続く土地を、夫の家系で引き継いでいってもらいたい、という思いをお持ちでいらっしゃいました。
そこで、兄弟姉妹には遺留分はないので、遺言で甥御様に財産を遺贈する、という提案をさせていただきました。
紛失や偽造の心配なく遺言書を保管できる方法として、
①公正証書で遺言を遺して公証役場に保管する方法と、
②自分で遺言書を書いて(自筆証書遺言)、法務局の自筆証書遺言保管制度を利用する方法の、
二つを提案させていただいたところ、②を選択されました。
遺言書の内容としては、自分が亡くなった後、その財産を、包括的に甥御様に遺贈する、というものになっていますが、万が一甥御様が依頼者様より先に亡くなった場合に備えて、その際は、甥御様のお子様に遺贈できるよう、提案させていただきました。
手続きが滞りなく進むよう、祭祀承継者や、遺言執行者についても、配慮した遺言書となっています。
また、依頼者様の思いが伝わるように、付言事項の部分も、工夫されていらっしゃいました。
3. 結果
自分の相続について、早めに対策を考えることができてよかった、とのことでした。
「法務局から発行された遺言の保管証を手にされたときは、これで不安に思っていたことが解決された」と、安心されていらっしゃいました。
自筆証書遺言保管制度を利用する場合、財産目録以外、手書きで遺言書を作成しないといけないため、長い文章を書くことに苦労されていましたが、内容をご相談させていただいてから、数日で書き上げていらっしゃいました。
受任から、法務局に遺言書を預けるまで、およそ3か月ほどかかりましたが、依頼者様のすっきりされた表情が、とても印象に残りました。