1. 相談の背景
相続人の一人は海外在住だが、実家の土地の相続登記をして売却したい
十年以上前に亡くなられたお父様名義の土地の売却を希望されていらっしゃるというA様がご来所されました。
売却するには相続登記が必要と聞き準備を進めていらっしゃったところ、相続人のうちの一人が現在海外在住で印鑑証明書の取得ができないとわかり、どうしたらよいかご相談にいらっしゃいました。
2. 相談に対する弊所の対応
相続登記おまかせプラン
⒈不動産登記事項証明書を確認したところ、該当の土地はたしかにお父様名義のままであることがわかりました。
その土地上にあったご実家であった建物は数年前に取壊したとのことでした。
2.ご家族関係をお伺いしたところ、お父様の配偶者であるお母様が数年前に亡くなり、法定相続人はA様及び姉のB様が日本在住で、弟のC様は海外在住とのことでした。
また、A様、B様並びにC様の間で「売却の際にはA様のみが売主となり手続を進め、売却後に売買代金から売買手続に要した費用を差し引いた金額を3等分する」旨の話合いが為されたとのことでした。
このような手続の場合、登記簿上は法定相続割合ではなく、法定相続人の一人が相続することになります。
3.登記を申請する際には、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名及び実印で捺印することが必要です。
また、遺産分割協議書に押印された印影がたしかに実印であることを証明するために印鑑証明書を添付しなければなりません。
以下のように必要書類をご準備いただきました。
遺産分割協議書については、協議書案を作成して欲しいとのご依頼がございましたので、上記の協議内容に沿う内容の協議書案を弊所にて作成いたしました。
A様並びにB様には、協議書にご署名・ご捺印の上、お住まいの市区町村の役所で取得していただきました。
海外在住のC様には、印鑑証明書の代わりに署名証明書を取得していただき、以下の流れでご対応いただきました。
①弊所よりC様へ遺産分割協議書案を送付
②遺産分割協議書の内容を確認の上、お住まいの国の在外公館(日本大使館・領事館等)の予約を取得
③予約日時に内外公館に遺産分割協議書を持参し、領事等の面前で署名・押捺し、署名証明書及び在留証明書(住民票の代わりに)の発行を受ける
④弊所宛に遺産分割協議書、署名証明書及び在留証明書を送付
4.弊所にて相続人の方々から書類をすべて受領いたしましたら、法務局へ必要書類を提出し登記を申請しました。
3. 結果
これでやっと安心できましたとのことでした
無事に相続登記が完了しA様名義になりましたので、「弟が海外在住だから、どうしたらよいか悩んでいた。ようやく安心して売却できるので、手伝って頂けてよかったです。」とのお言葉をいただきました。