こんにちは、さいたまの三浦です。
今回は不動産登記における売主様の署名証明書について述べたいと思います。
登記簿上の住所が日本にあれば印鑑証明書を決済時にご用意していただきますが、外国の場合、代わりに署名証明書となります。
署名証明書は領事の面前で署名証明が必要な書類(委任状等)にサインを行い、領事が本人の署名に間違いないという証明書を綴り合せて割印を行う【合綴型】と、対象となる本人の署名を単独で証明する【単独型】があります。
不動産売買においてどちらでも手続き可能ですが、権利証があるかどうかで事情が変わってきます。
権利証が無い場合、その代わりになる制度として主に本人確認情報制度と事前通知制度があります。
事前通知制度は権利証が提出されなかった場合、登記官から申請人である登記名義人に対して「登記申請があった旨」および「その登記申請の内容が真実であるなら、一定期間内にその旨の申出をすること」の通知がなされます。
その後、申請人である登記名義人より、上記期間内に申出がなされた場合に登記が完了します。
決済で金銭のやり取りが完了した後、登記名義人である売主様の協力があって初めて買主様に権利が移転するのは不確定要素があるので、司法書士としては採用しづらい制度となります。ましてや住所が海外であれば尚更であると思われます。
次に本人確認情報制度ですが、こちらは司法書士が、申請人が登記申請の権限を有する登記名義人本人に間違いないことを確認し、その確認情報を法務局に提出することをもって権利証の代わりとする制度です。
本人確認情報の作成には売主ご本人様とお会いすることが必要となります。少し状況は改善されてきましたが、コロナ等により外国の売主様とお会いすることができない場合がありますので、こちらの制度も採用できない場合があります。
こういった状況の時、委任状に事前通知を売主様ではなく代理人に通知すること等の委任事項を追加して上記の【合綴型】を採用すれば事前通知の代理受領が可能となります(昭和35年6月16日民事甲第1411号民事局長通達、登記研究692質疑応答7815)。
事前通知制度は決済後の売主様の協力が必要でしたが、上記先例に基づけば、代理人である司法書士に事前通知が行われるので、不確定要素のない決済が行えるものとなります。
色んな先例があるものだなと思える件でした。
三浦