「とーちゃん、石みがきたいから、紙やすりつかうよ。」
「ん、おぅ、一緒に磨くか。」
「何ばんつかえばいい?」
「180番位からじゃねぇか。」
「わかった。」
「とうちゃんは、何ばんがすき?」
「んー、1200番かな。」
「1200ばんつかわないの?」
「まだだろ、順番がある、今は180番」
「そっか。」
「とうちゃん、こんなんでどうかな?」
「どら、ーん、角度を変えて光を当ててごらん、ほら、凹んだところに地肌がみえるだろ。」
「どうすればいい?」
「どうしたい?」
「うん?」
「地肌をそのまま見せつけたいか、形を生かして磨きこむか、全体を凹みの高さまで削り落として平らにするか。」
「うーん。」
「どう仕上げたいかは、自分で決めるんだよ。何をイメージして、どう形に落とし込んでいくか、デザイン楽しいよな。」
「・・・わかった。」
・・・、・・・。
180番で磨き途中の石、文字通り、ただの石です。
紙やすりの番手#180の砥粒の経は106μ(マイクロ)m、#1200になると13μm。砥粒の細かさが1μmに近づくと、磨いた面は人の目に光沢を感じさせる。
鏡面仕上げだ。
僕らの仕事で使う粒子は、1mm。地球上の1mm。4万kmのなかの1mm。
1/40000000000=0.000000000025 25pe(arth)
(25ピコアース、架空の単位ですよ。念のため。)
p(ピコ)はμ(マイクロ)の1/1000000(百万分の1)
世界を輝かせるには、充分な篩の目じゃないか。
と、なんとなく、それっぽく、仕事に結び付けてみる、結び。
そういえば、息子よ、2年前の夏はこんなものを磨いていたな。
夏の暑さは、君に何かを磨かせるのか。
土地家屋調査士法人リーガル・フェイス さいたま支店 杉山