少し前の話ですが、役員変更登記の添付書類について以下のような変更がありました。
(1) 株式会社の設立の登記又は役員(取締役、監査役等)の就任(再任を除く)の登記を申請するときには、本人確認証明書の添付が必要となります。
(改正後の商業登記規則第61条第5項)
(2) 代表取締役等(印鑑提出者)の辞任の登記を申請するときには、辞任届に、当該代表取締役の実印の押印(市区町村長作成の印鑑証明書添付)又は登記所届出印の押印が必要となります。
(同条第6項)
(1)について
登記の申請書に当該取締役等の印鑑証明書を添付する場合を除いて、取締役等の「本人確認証明書」の添付が必要となります。
※ 株主総会議事録に当該取締役等の住所の記載がない場合には、別途、当該取締役等が住所を記載し、記名押印した就任承諾書の添付が必要となります。
《取締役等の「本人確認証明書」の例》
○住民票記載事項証明書(住民票の写し)
○戸籍の附票
○住基カード(住所が記載されているもの)のコピー※
○運転免許証等のコピー※
(※ 裏面もコピーし、本人が「原本と相違がない。」と記載して、記名押印する必要があります。)
(2)について
登記申請書に添付される辞任届は、次のいずれかに該当するものでなければならないこととなります。
・辞任した代表取締役等の個人の実印による押印及びその印鑑証明書(市区町村長が作成したもの)の添付がある。
又は
・辞任した代表取締役等の登記所届出印による押印がある。
詳しくはこちら
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00085.html
改正の趣旨としては、
(1)については就任する役員について本人確認書類を求めることで、架空の人物が登記名義人になるなどの不正を防止すること、
(2)については実印および印鑑証明書を求めることで、重要な地位にある本人が間違いなく辞任をする意思を持っていることを確認し、本人の意思に反していつの間にか辞任の登記がされていた、というような事態を防ぐこと
が挙げられるかと思います。
逆に言うと、これまでそのような不正な事例が生じていたということでしょうか。
自分も受験時代、商業登記の添付書類の勉強をしていて、「え、これだけでいいの?いくらでもごまかせそうじゃん」なんて思ったものです。もちろん虚偽の登記は問題ですが。
商業登記の添付書類はなんとなくゆるいイメージがあったのですが、今後は不動産登記のように厳格になっていくのでしょうか。