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令和20年…?

こんにちは。名古屋支店の細井です。


つい最近正月休みが明けたと思っていたら、あっという間に1月も終わり2月に入りましたね。
「令和」も3年目に入り「平成」が過去の年号になりつつありますが、慣れ親しんだ平成の文字を見ることが減っていくことに寂しさを感じます。


さて、司法書士が業務を行ううえで年号は非常に重要です。
登記申請書をはじめ司法書士が作成する書類はそのほとんどに日付を記入しますし、依頼者の本人確認のために生年月日を聴取したり、登記済権利証や登記識別情報の特定も受付年月日で行います。



先日、年号に関してこんなことがありました。


売買による所有権移転登記の依頼を受けて対象物件の登記簿(登記事項証明書)を確認していたところ、登記簿には次のように記載されていました。

 

 





「売主Aさんは相続でこの物件を取得したのか」
「相続したのは令和20年5月5日…」

「ん…なにか違和感が…」

「!!!」
「令和20年!」
「未来の日付じゃないか!」



法務局で登記簿に記入するときに間違ってしまったのだろうと思い、職権更正をお願いするために管轄法務局に連絡をして事情を説明したところ、すぐに確認して折り返すとのこと。10分もたたずにすぐに法務局から連絡が…。




法務局「先ほどの件、相続登記の申請書を確認したところ、申請書が令和20年になってるので職権更正はできませんね」

私「有り得ない未来の日付だとしても申請人の過誤による間違いなので、法務局で訂正することはできないということですか?」

法務局「そういうことです」

私「本物件の売買があるのですが、今の登記簿の状態のまま売買による所有権移転登記を申請したらどうなりますか?」

法務局「却下になるでしょうね」

私「……ですよね」




つまり、登記簿は発生した登記原因(売買、相続、贈与など)の時系列どおりに上から下へ記載がされなければならないところ、この登記簿にこのまま売買の登記をすると過去〜未来〜現在とタイムスリップをしたような登記簿が出来あがってしまうのです。
よって、当然そんな登記簿を作るわけにはいかないので売買による所有権移転登記は却下になるというわけです。

売主Aさんに事情を説明し、戸籍謄本を確認させてもらったところ、相続が発生した日は「平成20年5月5日」でした。Aさんには追加で費用を負担してもらうことにはなりましたが、登記原因を訂正する所有権更正登記と売買による所有権移転登記を連件で申請し無事に売買が完了しました。

もしも、この年号の間違いに気が付かずに売買による所有権移転登記だけを申請していたらと思うと背筋が凍ります。年号の変わり目では今回のようなことも起こるのだなと、改めて登記簿をよく読み込むことの大切さを実感し、正月ボケから一気に叩き起こされた出来事でした。

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